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一次エネルギー消費量等級とは?基準値や等級6の取得方法をわかりやすく解説

一次エネルギー消費量等級は、建築物の省エネ性能をわかりやすく数値化した指標のひとつです。2050年のカーボンニュートラル達成には、温室効果ガスの原因のひとつである、建築物の一次エネルギー消費量削減が不可欠です。そのため、2022年に今までよりも高い一次エネルギー消費量削減率を求める等級6を新設、2025年にはすべての建築物で等級4以上が義務化されます。

この記事では、一次エネルギー消費量等級の概要や基準値について詳しく解説します。

最高等級である等級6の取得方法も紹介するので、今後新築や増改築を検討している方は参考にしてください。

2022年に一次エネルギー消費等級6が新設

2022年に住宅性能表示制度における一次エネルギー省等級が見直され、新たに等級6が登場しました。等級6は、一次エネルギー消費量の省エネ基準よりも20%以上の削減が条件で、省エネ住宅の最上位モデルであるZEH住宅と同等の水準です。

ZEH住宅は「ネット・ゼロ・エネルギー」の略称で、高い断熱性と省エネ性、そして太陽光発電などによる創エネ性を組み合わせて、建築物の年間の一次エネルギー消費量が賞味ゼロになるのを目指した住まいです。等級6の新設は2050年のカーボンニュートラル実現が背景にあり、建築物のさらなる省エネ性能向上の推進が目的です。

地球温暖化の原因のひとつである温暖化効果ガスの排出量は、建築業界が占める割合が大きく、省エネ性能の高い建築物の促進は必要不可欠と言えます。

一次エネルギー消費量等級とは

住宅や非住宅が一年あたりに消費するエネルギー量を数値化したものを、「一次エネルギー消費量(BEI)」と呼びます。

一次エネルギー消費量等級はその指標を6つにランク付けしたもので、2013年に建物全体の省エネ性能をわかりやすくする目的で設けられました。

建物内で一次エネルギーの対象となる設備は、下記のとおりです。

・冷暖房器具

・換気設備

・給湯設備

・照明設備

・家電、事務機器

設計時に、上記の設備の予測エネルギー消費量をすべて合算した「設計一次エネルギー消費量」が、省エネ基準である「基準一次エネルギー消費量」よりも小さいかどうかでランク付けします。

等級は1から6まで存在し、省エネ基準の最低ラインは等級4です。

等級条件基準
等級6BEI≦0.8非住宅誘導基準(省エネ基準▲20%)
等級5BEI≦0.9住宅誘導基準(省エネ基準▲10%)
等級4BEI≦1.0省エネ基準
等級3BEI>1.0

※太陽光発電設備によるエネルギー消費量の削減は見込まない

引用:国土交通省「住宅性能表示制度の省エネ上記等級の創設

最も年間のエネルギー消費量の基準が厳しいのが等級6で、等級が高いほど省エネ性能に優れています。

一次エネルギー消費量水準(BEI)の算出方法

一次エネルギー消費量等級を調査するための、一次エネルギー消費量水準(BEI)の算出方法は下記のとおりです。

【BEI】=設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量

前述したとおり、設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量よりも小さいほど評価が高くなります。ここでは、BEIの算出に必要である「基準一次エネルギー」と「設計一次エネルギー」それぞれの算出方法を詳しく解説します。

基準一次エネルギー消費量の計算方法

建築物における一次エネルギー消費量の基準値が、「基準一次エネルギー消費量」です。

建物で使用する設備(冷暖房や照明など)の基準エネルギー消費量を、すべて足すと算出できます。

引用:国土交通省「省エネ基準の概要

基準値は、床面積や建築予定の地域などによって変動します。

たとえば、東北地方などの寒冷地の場合、温かい地方よりも冬の暖房エネルギーが多くなるのは避けられないため、暖冷房エネルギー消費量の基準値は高めに設定されます。

設計一次エネルギー消費量の計算方法

「設計一次エネルギー消費量」とは、建物で使用する設備それぞれのエネルギー消費量を設計時に予測したものです。計算式は予測した設備ごとのエネルギー消費量を設計時に、基準一次エネルギー消費量と同様にすべて合算します。

さらにそこから太陽光発電などの創エネ量(自家消費分のみ)を引いてBEIを出すのが基本ですが、等級を調査する場合は創エネ量を見込まずに判断します。

一次エネルギー消費量等級が高い建築物のデメリット

等級が高い建築物のデメリットは、建築コストが高くなる点です。

たとえば小規模の事務所を建築すると、等級6以上の削減率が期待できるZEB Readyでは、省エネ基準相当のものと比べて約9~18%程度建築費が増すと試算されています。

しかし等級が高い建物は年間のエネルギー消費量が少なく、光熱費を削減できるため、長期的に使い続ければ取り戻せる額だと言われています。

また国や地方自治体が施策する補助金制度などが充実しているので、上手に活用すると金銭的負担を軽減できるでしょう。

一次エネルギー消費量等級が高い建築物のメリット

一次エネルギー消費量等級が高い建築物の主なメリットを、3つ解説します。

光熱費が削減できる

一次エネルギー消費量を削減するには、エネルギー効率の高い冷暖房器具や給湯設備、LED照明などの導入が必要不可欠です。

エネルギー消費量と光熱費は連動しているため、エネルギー消費量を減らし、最低限のエネルギーを効率的に使うほど光熱費も安くなります。

そのため一次エネルギー消費量等級が高い建築物ほど、年間に使用する光熱費の削減が期待できるでしょう。

環境に優しい

一次エネルギー消費量の削減は、地球温暖化などの環境問題への貢献が可能です。

前述した通り、国内で使用する一次エネルギーの3割は建築分野が占めています。

建物で使用する一次エネルギーは、石油・石炭・原子力などの自然エネルギーを指し、それらを使用すると二酸化炭素が発生します。

温室効果ガスの7割は二酸化炭素が占めており、二酸化炭素の排出量増加と比例して地球温暖化が進んでいるのが現状です。

一次エネルギー消費量等級の高い建物を選び、石油などの消費を最低限に抑えるのは、未来の地球環境を守るという大きなメリットになるでしょう。

建物の資産価値が高まる

近年、世界中で脱炭素に向けた取り組みが重要視されているため、省エネ性能の高さは建築物の資産価値に直結します。

たとえば一次エネルギー消費量等級6の建物を事業で使用しているだけで、企業のCSR活動としてアピールが可能です。

テナントとして貸し出す場合も、光熱費が安く、企業価値の向上も期待できるという付加価値により家賃を高く設定できるでしょう。

また太陽光発電等の創エネ設備で自家発電能力を確保できていれば、災害時でも事業継続性が向上し、さらなる資産価値向上が見込めます。

一次エネルギー消費量等級6を取得する2つの方法

等級6を取得するために、一次エネルギー消費量を最低限に抑える方法を2つ解説します。

①断熱性能を高める

BEIを基準値以下に抑えるためには、建物全体の高い断熱性能が欠かせません。

断熱性能の高い家は、夏の熱気や冬の冷気など外気温の影響による室内の温度変化が少なく、最低限の冷暖房器具の使用で快適な室温を保てます。

また冷暖房で調整された室温を長く維持できる効果があるので、エネルギー使用効率を高めます。

断熱性能を上げるには、屋根や壁、床にグラスウール等の高性能素材を適切に施工するのが重要です。

外気が入りやすい窓ガラスには、複合ガラスなど高性能サッシを採用しましょう。

②一次エネルギーの利用を効率化する

一次エネルギー消費量の削減は、使用量を減らすという視点だけでは上手くいきません。

冷暖房や照明の設置箇所を減らせばエネルギー使用量を減らせるかもしれませんが、室内の快適さを保てず、仕事や生活のクオリティが下がるでしょう。

そのため少ないエネルギーでも快適に過ごせる、高効率な設備を導入するのが大切です。

たとえば、ヒートポンプ技術を活用して電気エネルギーの消費を抑えるエアコンや、エコキュートなどの導入が当てはまります。

照明設備は、エネルギー変換効率が高いLED照明の導入がおすすめです。

LED照明は、白熱電球の約10分の1程度の電力で20倍以上長く使い続けられるため、エネルギー消費量削減に最適といえます。

ZEBは等級6以上のエネルギー消費量削減が必須条件

ZEBは、一次エネルギー消費量から、創エネによってつくられたエネルギーを差し引いた結果が0になるのを目指す非住宅です。

ZEBには4段階の指標がありますが、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減が基本です。

ZEBの前段階で大規模非住宅のみが対象である「ZEB Oriented」でも、30%以上の消費量削減が求められるため、一次エネルギー消費量等級6を取得するよりも難しいと言えます。

政府は、2030年までにすべての新築非住宅でZEB化の実現・普及を目標としています。

今後建築予定の非住宅は、等級6以上を目指すのが当たり前の社会になるでしょう。

まとめ

一次エネルギー消費量等級を調べるための省エネ計算には、専門的な知見や複雑な計算が要求されます。

自社で作業すると手間と時間がかかり、設計など本来の業務に支障をきたす恐れがあるため、代行会社に依頼するのがお勧めです。

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