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CASBEE不動産とは?評価の概要とメリットをわかりやすく解説!

不動産業界で注目を集めているCASBEE不動産評価認証を知っていますか?

この記事では、CASBEE不動産評価認証制度の概要から、評価の必須項目、評価方法、そして評価を受けるメリットまでを、わかりやすく解説します。

CASBEEの概要

CASBEEは建築物の環境性能を総合的に評価するシステムで、CASBEE不動産はその一部です。ここではCASBEEの目的や意義、評価対象と評価分野について解説します。

CASBEEの目的と意義

CASBEEの主な目的は、建築物の環境性能を客観的に評価し、環境負荷の少ない持続可能な建築物の普及を促進することです。これにより、建築物のライフサイクルを通じた環境負荷の低減と、居住者や利用者の快適性の向上を図れます。

CASBEEの評価対象と評価分野

CASBEEは、新築建築物から既存建築物まで、幅広い建物が評価の対象です。建築物の環境性能を総合的に評価するシステムには以下の3つがあります。

評価システム対象建築物
CASBEE建築評価新築や改修する建築物
CASBEE不動産評価既存建築物
CASBEEウェルネスオフィス評価オフィスビル

CASBEE不動産の特徴

では、CASBEE不動産評価とは具体的にどのようなものなのでしょうか。ここでは、定義や評価の対象、認証プロセスなどの特徴について詳しく解説します。

CASBEE不動産とは?

CASBEE不動産評価はCASBEEの一種で、既存の不動産を対象とした環境性能評価システムです。建築物の環境性能の可視化を目的としており、不動産市場における投資家や取引関係者に対して、建築物の評価の際に活用して頂くことを目的としています。

CASBEEと比べて、評価項目を簡素化し、評価にかかる時間とコストを削減しています。これにより、多くの既存建築物の環境性能を効率的に評価することが可能になりました。

CASBEE不動産の評価対象

CASBEE不動産評価認証の評価対象は、以下のような既存の竣工後1年以上の建築物です。

  • オフィスビル
  • 店舗
  • 物流施設
  • 集合住宅

また改修の場合は以下の建物が対象です。

  • オフィス
  • 店舗

これらの既存建築物が、主な評価対象となります。

CASBEE不動産の認証プロセス

CASBEE不動産の認証プロセスは、次のような流れで進みます。

1.問い合わせ

代行業者に問い合わせをして、評価を依頼できるか確認します。

2.見積依頼資料を送付

見積もりに必要な以下のような資料を代行業者に送付します。

・平面図

・立面図

・断面図

・建築概要書(建設地などが記載されたもの)

3.見積書の受け取り

業者から見積書を受け取り、内容を検討します。

4.必要な資料の送付

業者に依頼することが決定したら、必要な資料を送付します。

・外観写真、内観写真(代表的なもの)

・竣工図一式(建築、構造、設備、電気、衛生、植栽計画、樹種リスト、外構図を含む)

・運用管理体制表(エネルギー、節水)、運営管理体制図

・年間電力消費量実績、年間ガス消費量実績(伝票等3年分)

など

5.スクリーニング

スクリーニングを行い、目標ランクに届いている場合は、次の作業に移ります。

6.評価・申請書作成

資料をもとに業者が評価・申請書を作成します。

7.CASBEE不動産評価認証機関に提出〜評価認証

評価認証されるまでに通常1ヶ月〜1.5ヶ月程度かかります。

8.認証書の発行

認証書が発行されたら、CASBEE不動産評価申請書(副本)と一緒に受け取ります。

このプロセスを経て、建築物の環境性能が客観的に評価されます。

CASBEE不動産評価の必須項目

CASBEE不動産では、5つの大項目について評価を行います。

評価は必須項目と加点項目に分かれており、必須項目のすべてを満たし、加点項目で一定の点数を得た建築物が認証されます。

①エネルギー/温暖化ガス

この項目では、建物のエネルギー消費量や温室効果ガス排出量を評価します。

必須項目は以下のとおりです。

①省エネ基準のクリア

②エネルギー消費量の目標設定

③モニタリングの実施

④運用管理体制の構築

また加点項目は以下のとおりです。

1. エネルギー使用・排出原単位(計算値)

2. エネルギー使用・排出原単位(実績値) 

3. 省エネルギー(仕様評価) ※オフィス・店舗は評価対象外の項目

4. 自然エネルギー(太陽光発電他)

最大で30~35点が加点されます。

②水

水の項目では、建物の水使用量や節水対策を評価します。

必須項目は以下のとおりです。

①水使用量の目標設定

②モニタリングの実施

また加点項目は以下のとおりです。

1. 水使用量(計算値) ※物流施設・集合住宅は評価対象外の項目

2. 水使用量(仕様評価) ※オフィス・店舗は評価対象外の項目

3. 水使用量(実績値) ※物流施設は評価対象外の項目

3. 資源利用/安全 

最大で10点が加算されます。

③資源利用/安全

この項目では、建設資材の再利用や廃棄物管理、有害物質対策などを評価します。

必須項目は以下のとおりで、いずれかを満たす必要があります。(改修の場合は改修後を対象とします)

①新耐震基準に適合(1981 年基準以降の建物)

②構造耐震指標 Is 値≧0.6

(1981 年基準以前の建物で耐震改修を施しているもの)

③倒壊危険度指標 If 値≦1.0

(1981 年基準以前の建物で耐震改修を施しているもの)

また加点項目は以下のとおりです。

1. 高耐震・免震等 

2. 再生材利用率他・廃棄物処理負荷抑制 

3. 躯体材料の耐用年数

4. 主要設備機器の更新必要間隔

・設備(電力等)の自給率向上

・維持管理

・バリアフリー計画

最大で20~25 点が加算されます。

④生物多様性/敷地

敷地内の緑化や生態系への配慮を評価する項目です。

必須項目は以下のとおりで、これらについて適切な対策が行われている必要があります。

①外来生物法の特定外来生物

②外来生物法の未判定外来生物

③生態系被害防止外来種

また加点項目は以下のとおりです。

1. 生物多様性の向上

2. 土壌環境品質・ブラウンフィールド再生

3. 公共交通機関の接近性

4. 自然災害リスク対策

最大で20点が加算されます。

⑤屋内環境

最後に、室内の快適性や健康への配慮を評価する項目があります。

必須項目は以下のとおりで、①または②を満たす必要があります。

①建築物環境衛生管理基準の準拠 

②衛生管理に関する質問票による評価

また加点項目は以下のとおりで、集合住宅以外と集合住宅で分かれます。

集合住宅以外

1. 昼光利用 

2. 自然換気性能 

3. 眺望・視環境

4. 改修による屋内環境向上(改修のみ)

最大で10~15 点が加算されます。

集合住宅

1. 自然利用 

2. 健康・快適 

3. 防犯対策

最大 20点が加算されます。

CASBEE不動産の評価

CASBEE不動産の評価方法とランク付けについて、詳しく見ていきましょう。

評価方法は?

CASBEE不動産の評価方法は、他のCASBEEと同じく5段階(S、A、B+、B)で格付けされます。

ただし、評価項目は大幅に簡素化されており、CASBEE建築の半分以下になっています。これにより、専門知識や作業量が少なくても評価が可能になりました。

同時に、国内外の不動産市場関係者にとって分かりやすい評価基準となっています。CASBEE標準版との整合性や国際的な共通項目も考慮されているため、信頼性の高い評価システムとなっています。

評価ランク

評価結果は、以下のようなランクで表示されます。

ランク評価ランク表示加点項目の得点
Sすばらしい★★★★★78 点以上
A大変よい★★★★66 点以上
B+よい★★★60 点以上
B必須項目を満足★★50 点以上

参照:環境性能基準の基礎知識 CASBEE-不動産

CASBEE不動産の評価結果は、4段階のランクで表されます。これらのランクは、CASBEE-建築(新築)の評価ランクとほぼ一致するように設計されています。ランクは星の数でもされており、環境性能を視覚的に理解しやすいでしょう。

評価は主に設計者や建築主が行いますが、認証申請の場合はCASBEE不動産評価員による評価が必要です。評価結果の的確性は、認証機関が確認します。

現時点では公的な優遇措置はありませんが、この評価は既存建物の運用段階で活用でき、環境性能改善の取り組みに生かせるでしょう。

CASBEE不動産評価を受けるメリット

CASBEE不動産評価認証を取得することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、その主なメリットについて詳しく説明します。

GRESBの加点項目となる

CASBEE不動産評価認証の取得は、GRESBの加点項目となるのもメリットの一つです。

GRESBは、グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマークのことで、不動産会社や運用機関の環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを評価する国際的な指標です。

欧州の年金基金が始めたもので、既存の建築物や新規開発、大規模改修プロジェクトなどを対象としています。主に欧米の大手投資家が、投資先を選ぶ際の判断材料です。環境に配慮した不動産投資の重要性が高まる中、GRESBの評価は世界的に注目されています。

建築物の環境性能を改善する取り組みに活かせる

CASBEE不動産の評価結果を分析することで、建物の環境性能を向上させるための具体的な取り組みを検討できます。

例えば、エネルギー消費量が多いと判断された場合、省エネ設備の導入を検討するきっかけになるかもしれません。具体的には、以下のような改善策を検討できます。

  • 高効率空調システムへの更新
  • LED照明の導入
  • 断熱性能の向上
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 節水型設備の導入
  • 緑化面積の拡大

これらの取り組みにより、建築物の環境性能を段階的に向上させることが可能となります。

不動産価値の向上

CASBEE不動産評価認証は、不動産の環境性能を示す客観的な指標として認識されつつあります。

環境性能の高い建築物は、長期的な維持管理コストの削減や、テナントの満足度向上につながる可能性があるでしょう。これらの要因が、不動産の価値向上に寄与する可能性があるのです。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • ランニングコストの削減
  • テナントの満足度向上
  • 競争力の向上
  • 賃料の上昇
  • 空室率の低下

これらの要因が複合的に作用することで、不動産の資産価値向上につながると考えられます。

まとめ

ここまで、CASBEE不動産評価認証の概要や評価方法、そしてそのメリットについて詳しく見てきました。環境性能の高い建築物が求められる現代において、評価の取得は不動産業界で重要な指標の一つとなっています。

CASBEE不動産評価認証の取得をお考えの方、または環境性能の向上について相談したい方は、ぜひ当社にご連絡ください。豊富な経験と専門知識を持つ専門家が、皆様のニーズに合わせた最適なアドバイスを提供いたします。

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