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環境認証とは?環境認証制度8選の特徴と取得するメリットを解説

近年、持続可能な社会の実現を目指し、国内外で人や環境に配慮した建築物づくりが進められる中で、BELSやCASBEEなどの環境認証制度が注目されています。

この記事では国内や海外で主流の環境認証制度8選と、認証取得による企業のメリットについて解説するので、環境認証を選択する際の参考にしてください。

環境認証制度とは

環境認証制度とは、建築物の省エネ性能や環境性能などを第三者機関が評価し、認証する制度です。

地球温暖化の原因のひとつである、二酸化炭素の排出量の多くが建築物から排出されていると判明し、社会全体で環境に配慮された建築物の促進が求められるようになりました。

また近年では自然環境だけでなく、建築物内外で活動する人々の健康を守ることで、持続可能な社会を目指す取り組みを評価するものも増えています。

オフィスビル・工場等が対象の主要な環境認証一覧

環境認証は国内外でさまざまな制度があり、それぞれ運営団体や評価対象が異なります。

国内の非住宅が認証を受けられる、主要な環境認証は下記の8つです。

名称運営国評価対象
BELS日本エネルギー性能
ZEB日本エネルギー性能
eマーク日本エネルギー性能
CASBEE日本総合的な環境性能
LEEDアメリカ総合的な環境性能
WELLアメリカ総合的な環境性能+健康や快適性
GRESB欧州不動産の社会・EGSを評価
DBJ Green Building日本総合的な環境性能

それぞれの特徴や評価内容について、ひとつずつ解説します。

BELS(ベルス)

BELSとは、建築物の省エネ性能を評価し、明確な環境性能表示の実施を目的とした環境制度です。

平成25年10月に国土交通省が制定した「非住宅建築物に関わる省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン」に基づき、第三者機関である「一般社団法人住宅性能評価・表示協会」が評価を行います。

非住宅のBELSはエネルギー消費性能のみ評価対象で、国が定める省エネ基準から、消費エネルギーをどの程度削減できるかをBEIで評価します。

評価は星の数(0~6段階)で表し、星の数が多いほど省エネ性能が高い建築物です。

BELSの認証を受けた住宅は、下記の省エネ性能ラベルを使用できます。

引用:一般社団法人住宅性能評価・表示協会「2024年4月以降のBELS制度

BELSには自己評価と第三者評価がありますが、補助金に活用したり、社会的信頼度を重視するなら第三者評価がおすすめです。

ZEB(ゼブ)

ZEBとは、環境への負担の軽減と快適な室内環境の両立を実現するため、建築物内で使用する年間の一次エネルギーの収支ゼロを目指した制度です。

エネルギー使用量を最低限に抑え、使用するエネルギーを太陽光パネルなどで生成することで、エネルギー消費量の実質ゼロが叶います。

ZEB認証はBELSの最高ランクに加え、創エネ性能を組み合わせることで成立し、BELSの省エネ性能ラベルでZEB水準をクリアすればアピールが可能です。

また、建築物のZEB化促進のために、下記4つの段階を設けています。

名称特徴
ZEB年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物
ZEB ReadyZEBを見据え、外皮の高断熱化や高効率な省エネ設備を備えた建築物
Nearly ZEB創エネにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物
ZEB OrientedZEB Readyを見据えた建築物

eマーク(省エネ基準適合認定マーク)

eマークとは、所有している建築物が省エネ基準を満たしている旨を証明するために国が定めた、省エネ基準適合認定マークです。

新築の場合は建築物竣工後に申請を行い、認定を受けた建築物は広告などにeマークの表示が認められます。

引用:国土交通省「住宅・ビル等の省エネ性能の表示について

既存建築物の省エネ改修等を行い、省エネ基準に適合した場合などによく活用される制度です。

CASBEE(キャスビー)

CASBEEとは、環境性能をさまざまな角度から総合的に評価する制度で、一般社団法人日本サステナブル建築協会が運営しています。

建築物だけでなく、地域や都市等にかかわる環境性能を評価するツールが複数用意されており、建築物環境計画書に導入する地方公共団体も多くあります。

引用:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター「CASBEEの概要

国内にある環境認証の中でも、SDGsやESG運営の進歩が把握しやすい指標です。

ESG経営とは、目先の利益や評価だけでなく環境や社会への配慮を大切にし、持続可能な発展を目指す経営を指します。

LEED(リード)

LEEDとは建築物の総合的な環境性能を評価する制度で、アメリカの非営利団体USGBCが開発しました。

CASBEEと同様に建築物から都市まで幅広く評価し、評価対象別に5種類の認証カテゴリーがあります。

カテゴリー特徴
BE+C(建築設計および建設)新築時あるいは大規模改修時のみに取得可能な認証で、環境性能を評価
ID+C(インテリア設計および建設)新築時あるいは大規模改修時のみに取得可能な認証で、建築物内の一部の内装スペースについて環境性能を評価
O+M(既存ビルの運用とメンテナンス)既存建築物の環境性能を、運用面や管理面での取り組みも含めて評価
ND(近隣開発)1つの敷地内に複数のビルを建てる土地開発や再開発に適用
HOMES(ホーム)戸建てや低層共用住宅、中層共用住宅などに適用
Cities and Communities(シティー&コミュニティ)都市やコミュニティの質を向上させることでクオリティ・オブ・ライフを目指し、自然生態系やエネルギー、交通など生活のクオリティを上げるために必要な点を評価

引用:GREEN BUILDING JAPAN「LEED認証システム

認証には、カテゴリーの評価をクリアして得られるポイントを取得する必要があり、ポイントによって4つのレベルに振り分けられます。

WELL(ウェル)

WELLとは、省エネによる環境への配慮だけでなく、人々の心身の健康にも焦点を当てた建築物や街区の環境を評価するシステムです。

建築だけでなく、医学的・科学的研究で得られたエビデンスに基づく評価内容で、健康的な経営や働き方に対する改革等を目指します。

WELLは、建築物を通じて人の健康をサポートするための10のコンセプトで構成されています。

LEEDと同様に加点システムを採用しており、点数が高いほど認証レベルも上がる仕組みです。

GRESB(グレスビー)

GRESBとは、国連責任投資原則原則(PRI)を中心とした欧州の主要年金グループが創設した、不動産関連企業やファンドを評価する制度です。

GRESB評価の種類は、リアルエステイト(不動産)とインフラストラクチャー(基盤設備)の2つです。

引用:GREEN BUILDING JAPAN「GRESBとは

不動産関連企業やファンドが取り組む環境・社会・ESGを評価して公表することで、投資家がサスティナビリティに配慮した投資先を選定しやすくなります。

DBJ Green Building(DBJグリーンビルディング認証)

DBJ Green Buildingとは、環境や社会への配慮が行われている不動産とその所有者を支援する制度です。

日本政府投資銀行が運営し、実際の認証業務は一般財団法人日本不動産研究所が実施しています。

不動産のサステナビリティをESG運営に基づいて評価することで、ESGやSDGsへの取り組みに積極的な企業であるとアピールでき、投資家や金融市場での評価を向上させるのが目的です。

企業が環境認証を取得する4つのメリット

企業が環境認証を取得するメリットについて、4つ解説します。

持続可能な社会の推進

前述した通り、地球温暖化等の環境課題を解消するために、環境認証が注目されています。

企業が積極的に省エネ性能の高い建築物を採用することで、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能な社会の実現につながるでしょう。

建築物を利用する人々の健康維持・改善

環境認証は環境だけでなく、建築物や都市に住む人々の健康維持・改善する目的もあります。

断熱性能の高さで室内の温度を快適に保ちやすくなり、生産性が向上するなど、企業にとってもメリットが高い結果を得られるでしょう。

不動産価値や信頼性の向上

持続可能な社会づくりが求められる中で、環境認証を持つ建築物は不動産価値が高くなる傾向です。

環境に配慮した建築物を積極的に採用している企業として、社会的信頼性も向上するでしょう。

また省エネ性能が高い建築物は光熱費などを削減できるため、テナント料を高く設定しやすいのも魅力です。

ESG経営で投資家からの評価を取得

ESG経営は、近年投資家が投資先を検討する際に注目しているポイントです。

環境認証を受けた建築物は、目先の利益よりも将来を見据えたESG経営がされている印象がつきやすいため、投資家からの評価を取得しやすいでしょう。

環境認証を取得する際の注意点

環境認証を受けるためには建築物の性能を向上させる必要があり、高性能な設備や技術が必要です。

一般的な建築物を建てるよりも初期コストが高くなりやすいため、コストに見合ったメリットが得られるか検討するのが大切です。

また、認証までに時間がかかるケースもあるため、認証を受けたい日から逆算して準備を進めましょう。

まとめ

BELSやLEEDなどの環境認証は、環境にも人にも優しい持続可能な社会を実現するために、建築物が目指すべき指標を定めた制度です。

建築物を所有する企業にとっても、消費者や投資家にSDGsやESG運営をアピールできる手段になるので、メリットが大きいといえます。

環境認証の申請にともなう省エネ計算が手間だと感じる場合は、省エネ計算の代行会社に依頼するとスムーズになるでしょう。

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