建築確認申請とは?手続きの流れから必要書類までわかりやすく解説
建築確認申請は、建築物を建てる際に必ず必要となる手続きです。建築物の安全性を確認し、法律で定められた基準に適合しているかを確認するために行われます。
この記事では、基本的な内容から具体的な手続きの流れ、必要な書類まで詳しく解説していきます。
建築確認申請とは
建築確認申請は、建築物が法律で定められた基準に適合しているかを、工事を始める前に確認する手続きです。
建築物の安全性を確保することが主な目的で、この確認を受けずに工事を始めることはできません。違反した場合は罰則の対象となる可能性もあるため、正しい理解と手続きが必要不可欠です。
建築確認申請の定義と目的
この制度は、建築基準法に基づいて建築物の安全性と適法性を確認する手続きです。
主な目的は、基準に適合しない建築物の建築を防ぎ、安全性を確保することにあります。
例えば、地震や火災などの災害が起きた際に建築物が倒壊しない強度があるか、安全に避難できる構造になっているかなどを確認します。
この制度によって、建築物を利用する人の命と財産を守り、周辺環境との調和を図れます。
建築確認申請に関する主な法律
この申請手続きでは、複数の法律への適合性を確認します。
中心となるのは建築基準法で、建築物の基本的な安全基準を定めています。
その他にも、火災から人命を守るための消防法や、適切な街づくりのための都市計画法なども関係します。
これらの法律は、建築物の強度や防火性能など、さまざまな観点から建築物の安全性と適切性を判断する基準となっています。
建築確認申請のフロー
この手続きは、申請から確認済証の交付、そして工事完了まで、一定の流れに沿って進めていく必要があります。手続きの各段階で必要な書類や確認事項が異なるため、事前に全体の流れを把握しておくことが重要です。
以下では具体的な流れについて説明していきます。
建築確認申請の基本の流れ
申請手続きには、大きく分けて以下の6つの段階があります。
①申請前の準備
②申請
③審査
④確認済証の交付
⑤工事・中間検査
⑥完了検査
まず準備として、建築物の設計図面や必要書類をそろえます。
その後、申請を行い、建築主事または指定確認検査機関による審査が行われます。
審査に合格すると確認済証が交付され、工事を始められます。
工事中には中間検査が必要な場合もあり、工事完了後は完了検査を受けて検査済証の交付を受けなければなりません。
建築確認申請の提出先と申請期間
申請の提出先は、建築主事がいる市区町村の役所か、民間の指定確認検査機関のどちらかを選べます。
審査期間は問題がなければ申請から最長35日以内ですが、書類の不備がある場合は修正のために更に時間がかかることがあります。
また、建築物の規模や用途によっては、消防署による事前確認など追加の手続きが必要になる場合もあるため、余裕を持って申請を行うことが大切です。
交付される書類は?
この手続きの過程で交付される重要な書類は「確認済証」と「検査済証」の2つです。
確認済証は、申請した建築物の計画が建築基準法などの基準に適合していることを証明する書類で、これがなければ工事を始められません。一方、検査済証は工事完了後の検査に合格したことを証明する書類です。
この2つの書類は、建築物を法律で定められた基準を満たして安全に建てるために、必要不可欠なものとなっています。
建築確認申請に必要なものは?
手続きを行うためには、申請書類一式と申請手数料が必要です。
書類は建築物の規模や用途によって異なりますが、すべての書類に不備がないよう正確に作成することが重要です。
ここでは必要な書類と費用について詳しく説明していきます。
建築確認申請の必要書類
必要な書類は、建築確認申請書、建築計画概要書、設計図書など多岐にわたります。
設計図書には配置図、各階平面図、立面図、断面図などの図面が含まれ、建築物の構造や規模によっては構造計算書なども必要です。
これらの書類は建築物の安全性や法適合性を確認するための重要な資料となるため、正確な作成と記載内容の確認が欠かせません。図面は建築物の具体的な形状や寸法を示すだけでなく、避難経路や防火設備の位置なども明確に表示する必要があります。
建築確認申請にかかる費用
手数料は建築物の床面積や用途によって異なります。一般的な住宅の場合、数万円から十数万円程度が目安となりますが、大規模な建築物になるほど費用は高くなります。
また、手続きを代行する場合は別途代行費用が必要となります。手数料は地域や申請先によっても異なるため、事前に確認することをお勧めします。
以下は東京都の建築確認申請にかかる手数料例です。
床面積の合計 | 金額 |
30㎡以内 | 5,600円 |
30㎡超~100㎡以内 | 9,400円 |
100㎡超~200㎡以内 | 14,000円 |
200㎡超~500㎡以内 | 19,000円 |
500㎡超~1,000㎡以内 | 35,000円 |
1,000㎡超~2,000㎡以内 | 49,000円 |
2,000㎡超~10,000㎡以内 | 146,000円 |
10,000㎡超~50,000㎡以内 | 249,000円 |
50,000㎡超~ | 474,000円 |
注記: 金額は東京都都市整備局関係手数料条例の第七の一の項又は十四の二の項に基づき、床面積の合計に応じて算出されます。
床面積の合計 | 金額 |
1,000㎡以内 | 156,000円 |
1,000㎡超~2,000㎡以内 | 209,000円 |
2,000㎡超~10,000㎡以内 | 240,000円 |
10,000㎡超~50,000㎡以内 | 319,000円 |
50,000㎡超~ | 587,000円 |
注記: 金額は東京都都市整備局関係手数料条例の第七の一の二の項又は十四の三の項に基づき、建築基準法第6条の3第1項ただし書または同法第18条第4項ただし書に基づく審査(ルート2主事が行う審査)を行う独立部分ごとに、その部分の床面積に応じた金額です。
建築確認検査のポイント
手続きをスムーズに進めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ここでは申請を成功させるための3つのポイントについて解説します。
これらを意識することで、手続きの遅れや作業のやり直しを防げるでしょう。
早めに申請する
この手続きは、審査期間に加えて書類の修正や追加の確認が必要になる場合があります。
そのため、工事の開始予定日から逆算して、十分な余裕を持って申請することが重要です。
特に規模の大きな建築物や複雑な用途の建築物の場合は、より長い審査期間が必要になる可能性があります。早めの手続きにより、工期が遅れるリスクを軽減し、計画的な工事の実施が可能となります。
申請後の変更には再申請が必要
手続き後に設計内容を変更する場合、その内容によっては計画変更の手続きが必要となります。軽微な変更で済む場合もありますが、重要な部分の変更の場合は再度申請が必要です。
変更手続きにも時間がかかるため、申請前に設計内容を十分に確認し、できるだけ変更が生じないように準備することが重要です。
専門家に申請の代行を依頼できる
申請手続きには専門的な知識や経験が必要な手続きです。
そのため、建築士や建築確認申請の専門家に代行を依頼できます。
専門家に依頼することで、書類作成の負担が軽減されるだけでなく、申請がスムーズに進められる可能性が高くなります。特に初めて申請を行う場合や、複雑な建築物の場合は、専門家に依頼することを推奨します。
建築確認申請が不要なケース
建築物の規模や用途によっては、この手続きが不要となる場合があります。ただし、不要かどうかの判断には慎重な確認が必要です。
以下で代表的な申請不要のケースを紹介します。
建築基準法で定義される「建築物」に該当しない場合
建築基準法で定義される「建築物」に該当しない工作物は、この手続きが不要です。例えば、極小規模な物置などは建築物にはあたりません。
ただし、これらの工作物でも、基礎を設けて固定する場合や、一定以上の高さがある場合は建築物として扱われ、手続きが必要になることがあります。
文化財保護法により指定された建築物の場合
文化財保護法によって指定された建築物の修理や復元工事については、この手続きが不要となります。
これは、文化財建造物の歴史的価値を保存するため、建築基準法の規定が適用除外となるためです。ただし、文化財保護法に基づく別の手続きが必要となります。
都市計画区域外の四号建築物の場合
都市計画区域外に建てる小規模な建築物(四号建築物)は、建築確認申請が不要です。
四号建築物とは、木造2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13メートル以下、軒の高さ9メートル以下の建築物を指します。
ただし、特殊建築物(劇場、病院など)は多くの人が利用するため、安全性確保の観点から特別な基準が設けられており、都市計画区域外でも建築確認申請が必要です。
防火地域・準防火地域以外での床面積10㎡以内の増改築の場合
防火地域・準防火地域以外の地域で、床面積10㎡以内の増築や改築を行う場合は、この手続きが不要です。
ただし、防火地域や準防火地域では、面積に関わらず申請が必要となります。これは、火災の危険性が高い地域での安全性を確保するためです。
まとめ
建築確認申請は、安全な建築物を建てるために欠かせない重要な手続きです。
申請の流れや必要書類を理解し、余裕を持って手続きを進めていきましょう。
また、専門家のサポートを活用することで、より確実に進められます。不明な点がある場合は、建築士や専門家に相談するのがおすすめです。
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